「献盃」と「頂きます」について
どちらが適切か・・・?
先日、春祈祷で伺ったお宅のご主人から
「葬儀後の会食の開始にあたり、ご発声を頼まれたので『頂きます』という言葉を使ったところ、神主さんから『献杯』と言うのが正しい。間違わないで下さい、と怒られました。やはり『頂きます』を使うべきではなかったのでしょうか?」という質問を受けました。
結論から言って、私はどちらも間違いとは言えないと解します。
献盃とは?
盃を故人や同席した方々に捧げて敬意を表す意味があり、横手市内の神道葬祭後の会食(直会ーなおらい)では、これが一番多く使われているのではないかと思われます。
頂きますとは?
食べ物は命を繋ぐ自然の尊い恵みであり、自然崇拝を重視する神道では、神々への食前感謝を表現する意味で「頂きます」を使います。それは食事を用意して下さった方々への感謝も含まれています。
会食のことを正式には「直会(なおらい)」と言います。これには諸説ありますが、概ね祭典終了後、神様にお供えした召し上がりもの(神饌ーしんせん)を神事参列者が頂くことであり、神人共食の儀と解されています。
古来、神様に供えたものを食することで、恩頼(みたまのふゆ)が頂けると信じられています。これは神々の恩恵・加護・威力を意味しています。
葬儀で故人様に供えたものを直接参列者が頂くケースは少ないと思われますが、感謝を意味する語として「頂きます」を使うのも間違いとは言えないと解します。
葬儀では故人様への敬意を重視するべき、という考えも分かりますが・・・